A Scenario of Tomorrow -a preview of Sado Island | 2012 | Single Video Installation | Single channel video ×1(80mins.23sec.)

制作: 2012
制作地: 日本(佐渡島)

作中脚本・出演:川崎いずみ
映像内映像・出演:稲葉雄介
挿入曲:村上裕

あらすじ

恋人の田村優雄を喪った脚本家の川崎いづみは、優雄から届いた「佐渡島の予告編」というタイトルのDVDと「いづみさん、佐渡島で待っている。いい本編が書けると思う。」というトキのハガキを頼りに、佐渡島に優雄の見ていた本編を脚本化しようと旅に出かける。
旅先で出会うさまざまな人、そして重要な人物との出会い。優雄の借りていたアパートに、優雄の予告編に応答する本編「明日のシナリオ」を投函した時、佐渡島は新たな本編を描き始める。

予告編映像

作品構造解説

本作は、いくつかのメタ構造からなる映像作品である。八幡が用意した大枠は、「ある脚本家の恋人は元TVディレクターの旅人で、旅先で死んでしまう(作品内では明言していない)。かつて佐渡島を旅中の恋人から送られきた、“佐渡島の予告編”というタイトルの映像DVDとハガキを辿り、主人公の脚本家の女は佐渡島に夜行バスで旅立つことを決意する。旅をしながら、脚本家の女は自分の旅を脚本化する。そして、出来上がった脚本を、死んだ恋人がかつて住んでいたアパートの一室に投函する。投函された家には今は別の青年が住んでいる。その青年は家を留守にする間猫の世話をしてくれる友人を探していて、猫の世話係に抜擢された友人の映像作家が訪ねてくる。そして、脚本家の書いた“明日のシナリオ”は、映像作家の男の手に渡ることになり、映像作家はシナリオに書かれた通りに佐渡島を旅しながら、旅と脚本を映像化していく。いづみの書いた明日のシナリオは、受け取った映像作家の今日となり、2人はある地点で出会うのか出会わないのか・・・」という内容である。実際の脚本家に主人公の脚本家役となってもらいながら、大枠の設定だけを用意して、なかばドキュメンタリーのように制作した作品である。映像作家が映像化するいづみのシナリオは、死んだ恋人の優雄の目線にも重なり、優雄といづみが映像作家の男という別の身体を借りて再会できるのかどうか。
ドキュメンタリーの手法で進む現実の旅と、旅の最中に描かれた脚本に導かれて進む旅、そして全体を統合するフィクショナルな設定と導線。 二つのロードムービーに交叉する沢山の旅人と、暖かな島の人達の生活。
「旅はなにを生成しているのか。ロードムービーとはなにか。脚本とはなにか。」そんな問いに答える試みの実験的ロードムービー。