Michiko Church | 2008 | Single Video Installation | Single channel video ×1(28mins.2sec.) + Multiple photos
制作:2008
制作地:日本
映像インスタレーション、あるいは映像単独上映 1面映像×1,記録写真複数点
イントロダクション
本作は、山の中のほったて小屋のような教会で、ウェディングドレス姿で生きる一見風変わりなミチコさんと、夫の吉郎さんの姿を記録した映像作品である。教会の名前は「ミチコ教会」といい、これは吉郎さんがミチコさんのために建てた教会だ。
この教会はいつしか周囲に知られるようになり、ときに、金銭的な問題などから結婚式を上げることができない若い夫婦がミチコ教会で式を挙げたいと訪れるようになった。牧師の資格はなかったが、吉郎さんとミチコさんの二人は牧師役を担い、そういった夫婦の式を挙げてきた。教会には、そのささやかな歴史を物語る思い出の写真などが残されている。年老いた二人はこの狭い教会の中で、鶏や烏骨鶏を飼いながら二人で暮らしていた。
しかし、そんな平和な二人の暮らしにもやがて変化が訪れる。吉郎さんが末期がんに倒れ、他界してしまう。
ミチコさんは一人きりでこの山の中の教会で生きることの難しさに直面し、山を下りて町中の姉の家で暮らすか、それとも一人で山の教会にとどまるか葛藤する。
そんな矢先、久々にミチコ教会で式を挙げたいというカップルが訪れる。そのことで、ミチコさんの中に教会に残りたい、吉郎さんが自分のために建ててくれたこの教会を守りたいという思いが再び強くなる。
ミチコ教会とミチコさんを通して、本当の豊かさとは何かを考えさせられる作品である。
展示記録
「六本木クロッシング2010展ー芸術は可能か?ー」(森美術館)
記録写真:木奥恵三