Don’t call it Beshbarmak, 2022 | 2022-2023 |
Video Installation | 3 channels video×1 (10mins.45 sec. looped) + 1 single audio + 2 photos printed on fabric
+ 2 photos printed on tarpaulin + online archive related to Eating with Hands Cultures

制作: 2022-2023
制作地: カザフスタン、キルギス

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展示記録撮影:三吉史高

予告編映像

楽曲制作: Arshat
楽曲制作協力: TOBE
詩「Et」執筆・朗読: Elmira Kakabayeva
詩「家から遠い場所で」執筆: 龍崎 (朗読:Tagir Gilmutdinov )

展示記録

「The triangle: 八幡亜樹展」2023

展示形態: 映像インスタレーション
音(詩語り)10mins.45sec. (指向性スピーカー)
バナー写真 ×2
布出力写真 × 2

本作品は手食を題材とし、そこに複数の事象が絡み合うことで形を成している作品である。手食を「人類のパフォーマンス」と捉え直し、文明の発達とともに失われていく手食の面影や痕跡、現在の在り方を調査し、アーカイブしていく(https://teshoku.com)とともに、行為としての手食に身体性や感覚の解放と拡大、人と人との結びつきや自他の共通性を見出し、芸術を通して手食を考え、人間の可能性や人類のあゆみに考えを巡らせることを意図した作品である。本作「ベシュバルマクと呼ばないで //2022」では、世界中の手食文化の中でもカザフスタンとキルギスの伝統的な肉料理であるベシュバルマクに焦点を当てている。ベシュバルマクとはカザフスタン語で「5本の指」を意味するが、その取材を進めるなかで、この料理名をめぐるカザフスタン人の複雑な思いとアイデンティティ の問題、その背景にあるロシアとの関係にも触れていくことになった。ベシュバルマクとは、そもそも植民者であったロシア人によって後から名付けられ た料理名であると考えられており、また、この料理名について、手食する遊牧民としてのカザフスタン人を見下す意味合いも込められていたのではないか と解釈する民族誌学者にも出会ったからだ。また、本作の調査を進めるなかで、手食の原型を今は無き遊牧民の中に感じ取り、その面影を探し求める中で、調査旅行者である八幡自身が「現代のノマド」だと指摘されることになる。それは、八幡の旅と並走していた、戦争によって中央アジアへと流離するロシア人男性らの姿とも重なり合っていった。カザフスタンの定住化を進めたロシアから、たくさんのロシア人男性が流出し、「現代のノマド」をカザフスタンに送り出す構図となっていることの皮肉と興味深さがそこにはあった。
本展は主に、現地での映像と、ベシュバルマクの記憶をめぐるカザフスタン人女性の詩、戦争で故国を離れたロシア人男性の詩、そして、カザフスタン人アーティストによる作品全体を繋ぐラップ音楽、ファッション広告のようにも見えるバナーで構成されたインスタレーションである。また、八幡が展示とは別で展開する世界の手食文化をオンラインアーカイブするプロジェクトとも関連しており、そのプロジェクトのロゴマークがインスタレーションを貫通する仕掛けとなっている。
時に音楽やファッションと接続して「手食」の現代社会への通路を拓きながら、芸術というフィルターを通した手食だからこそ捉えることのできる、人間の生や人類のあゆみに考えを巡らせる展示である。

関連website :
世界の手食文化をアーカイブするwebsite「手食」
https://teshoku.com

手食ロゴマーク制作: 三重野龍